元SUUMO営業マンの物件売却奮闘記

EGENT執行役員の不動産業界のリアルブログ。自身の売却活動を通じた経験から、家を売る際にためになる知識をわかりやすく記載していきます。

既存住宅流通市場は本当に伸びるのか、SUUMO編集長の講演内容を公開

今回は、先般開催された、住宅生産団体連合会、住宅リフォーム推進協議会、住宅金融支援機構が主催し、講演を国土交通省が務めるシンポジウムに行った際の、シンポジウムにて、私の元職場のSUUMO編集長が語ったお話と、私の個人的な見解も含めて、ブログを記載させて頂きます。

 

シンポジウムのタイトルは「既存住宅流通の次のステージへ向けて」でした。それでは本日のタイトル、既存住宅流通市場は本当に伸びるのか、SUUMO編集長の講演内容を公開について進めさせていただきたいと思います。

 

当日のタイムラインとしては、前段にSUUMO編集長の池本洋一氏が基調講演として、「既存住宅流通市場は本当に伸びるのか?」 というタイトルでお話をして頂きました。

 

その後、パネル・ディスカッションでは、「既存住宅流通の次のステージへ向けて」というタイトルでこれまた豪華なメンバーが今後の既存住宅(中古住宅)の流通について様々に語って下さいました。

 

メンバーは島津明良氏:優良ストック住宅推進協議会 事務局長、山本卓也氏:(株)インテリックス 代表取締役社長、高橋正典氏:価値住宅(株) 代表取締役、杉浦美奈氏:国土交通省 住宅局 住宅瑕疵担保対策室、山崎德仁氏:(独)住宅金融支援機構 技術統括室長とまさに今後の既存住宅(中古住宅)の流通を担う大物の方々ばかりで大変豪華な会でした。

 

私は後半は予定があり、出られなかったので、本日は池本編集長の基調講演「既存住宅流通市場は本当に伸びるのか」について記載をさせて頂きたいと思います。

 

 

海外の街並み航空写真

海外では盛り上がりを見せている既存住宅流通市場

 

近年の不動産マーケットについて

まずは既存住宅(中古)流通市場についてお話をされる前に近年の不動産市況がどうなっているかを新築マンション、中古マンション、新築戸建等、それぞれの観点からお話をしてくれました。

 

今までは私もSUUMOに勤めていたので、何気なく聞いていましたが、いざ外に出ると目から鱗が落ちる情報ばかりでしたので、皆様にわかりやすくお伝えさせて頂ければと思います。

 

新築マンション市場

さすがはSUUMO編集長、SUUMOに実際に掲載されている物件のデータをお持ちですので、それを基に様々にお話してくださいました。

 

東京23区のSUUMOに掲載されている新築マンションの価格の推移を表示されていましたが、2011年の平均価格が5200万円であったのに対し、2017年は7200万円と、ここ6年で2000万円も平均価格が上昇していることがわかります。

 

あくまでもSUUMOの掲載価格の平均値をとっているので、実際に売れている価格ではないのですが、掲載されている物件の平均価格で2,000万円もあがっているのは正直驚きでした。

 

価格が高騰している理由としては、下記3つのポイントが挙げられていました。

①建築コストの増大・・・鉄筋系の工事単価が高い
言わずもがな、2020年に東京オリンピックが開催されることもあり、鉄筋系の工事が日本で増えているので、鉄筋系の素材の輸入代金が上がっています。また、大工さんなどの工事をする側の人材不足もあり、お給料が上がっています。そのため、建築コストがそのまま、新築マンションの価格に反映されているとのことでした。

 

②需要の問題・・・立地重視層の増大(共働き・シニア)
新築マンションを建てる場所が、土地代の高い都内のピン立地に限られているとのことでした。その背景には、いわゆるマンションを買う世代の夫婦の共働きが増えてきており、新築マンションを購入する際に、アクセスが非常に重視されているからということでした。


③資産価値の問題・・・リセールバリュー・貸しやすさ重視

マンションを買う人は、再度売ることや貸すことを考えている人も多いです。そのため、資産価値の高い物件を求める傾向にあり、共用部分やサービスの拡充を増やしたマンションも多くなり、価格が上がっているとのことでした。

 


今後の新築マンションの予測

直近は明らかに価格が高騰している新築マンションですが、今後ピン立地で良い土地が減ってきているため、新築マンションの供給戸数は減っていくだろうとのことでした。

 

価格は引き続き、上昇が予想されるとのことでした。これは不動産会社もマンションを建てるための用地仕入れの競争を繰り広げられていることが背景にあるとのことです。

 

そのため、大手デベロッパー(三井不動産・野村不動産等)は事業ポートフォリオ上の新築マンションの比率は低下させる傾向にあることも伝えられていました。

 


中古マンションについて


首都圏においては新築マンションの成約戸数と中古マンションの成約数の進捗数が同じくらいになっていとのことでした。


首都圏新築マンションの進捗戸数37427戸(SUUMO調べ)に対し、首都圏中古マンションの成約戸数37108戸(東日本レインズ)ともはや、1戸新築マンションが売れれば、同時にどこかで中古マンションが売れていると言っても過言ではないということです。

 

SUUMOの中古マンションの掲載物件を見てみると、一番増えているのは、不動産会社が「売主」として中古マンションを掲載しているという形態でした。これまで私の記載させて頂いてきた、所謂仲介会社が物件を掲載する場合、売主は私のような個人になりますので、形態は「仲介」になります。

 

なぜ、売主が増えているかというと、仲介会社が実際に良い中古マンションに関しては、自社で売主から買い取り、リフォームやリノベーションを行うことで、再度お客様に販売するという「買い取り再販事業」を展開しているからです。

 

これまで、何度か私のブログでは「買い取り再販事業」を悪い事例として伝えたこともありますが、買い取り再販を行うことで、中古住宅が流通していくことは良いことであり、正しい業者にお願いすることで、価値あるものが世の中に増えていくので、業界にとっても注目されているサービスと言われています。

 

また、内装リフォームがありの物件の比率も増えており、SUUMOに掲載されている物件を見ると2014年は29%に対し、2017年35%まで内装リフォームありの物件が増えているとのことでした。

 

ここまで新築マンションの価格が高いことを考えると、「賢く家を買うなら中古住宅だ」と考えてきた人が増えているように感じると池本さんもおっしゃっていました。

 


新築戸建てについて


新築戸建の業界では、土地だけ買ってきて、自分で好きな家を建てる「注文住宅」と不動産会社が土地を買って建てた家を買う「建売住宅」という市場があります。※(売建住宅もありますが、首都圏では注文住宅か建売住宅が主要ですので、今回は割愛させて頂きます)

 

この「建売住宅」で最近、伸びてきているのが海老蔵さんをCMに使っている「飯田グループホールディングス」です。2013年11月、それまで上場していた一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社が経営統合し、新たに飯田グループホールディングスが誕生しています。

 

大きな会社が6社も統合しているため、建具やキッチンやトイレ等、家に必要な素材を大量発注することで、素材原価を抑え、大手より3割以上安い価格で「建売住宅」を供給しています。

 

私もSUUMOに勤めているときは、主戦場が「新築戸建」の部署でしたので、この動きは驚異と捉えておりました。

 

なんとその「飯田グループホールディングス」のシェア率は全国で30%となったということでした。要は戸建てを買った人の10人に3人は「飯田グループホールディングス」で建てているとのことでした。

 

ただ、安いというメリットではなく、新築で10年の瑕疵担保がついていることで、お客様にとってもニーズが一定あるということでした。確かに中古住宅を買った際に心配になるのは建物の保証の部分なので、新築で価格が安く、10瑕疵担保がついているとなると安心ですね。

 

今後の仲介業者の生き残り


仲介業者市場については、大手の仲介会社へカスタマーが流れていく動きが強くなることが考えられるということでした。先ほど申し上げた通り、大手会社は中古住宅に対しても、自社の保証制度を持っている会社が多く、お客様も安心しているとのことでした。

 

そして、現状の不動産仲介会社の大手トップ10社のSUUMOの掲載シェアは5割を超えているとのことでした。極論10物件に5物件が大手トップ10社に入っているとのことです。

 

大手各社はこぞって「競合との差別化」と「手数料値引きへの対抗」からサービスメニューを拡充していく路線に動いていくとのことでした。

 

すなわち、池本編集長の予想としては、今後の既存住宅(中古住宅)流通市場については下記のとおりです。

 

中古住宅の供給数は増加傾向。(前述した通り、新築マンションが土地の仕入れ難と建築コストの増大から供給が難しいため、中古住宅を買ってリノベーションをして販売する事業が増える)

中古住宅としても新築マンションの価格が上がっているので、それにつられて物件価格はわずかに上昇していくとのことでした。戸建てに関しては前述の「飯田グループホールディングス」のようなビルダーの新築戸建の価格メリットに中古戸建の大規模リノベがコスト優位に立てず伸びないとのことでした。

そして保証の制度の観点から、大都市圏は大手ネットワーク系の寡占に進むということです。

 

さすがの見解に、わかりやすく非常に共感を持つことができました。

 

しかし、私は個人的に最後の一分には少し違和感を感じました。違和感を感じた部分としては2点あります。

 

1つ目は、大手各社の出している保証制度ですが、正直どこの会社でもできる内容が多いと思います。保証制度のホームページやパンフレットの謳い方が上手ではありますが、提携先の会社に投げるだけであったりするので、中小企業にできないというわけではありません。

 

2つ目に、全ての物件に保証が必要とは限りません。前段でも触れているように、中古マンションを買うメリットは「安く賢く買うことができる」という点です。保証がついているからといって、その物件を見つけられるとは限らないのではないのでしょうか。もちろん、大手の会社に勤める仲介営業マンがその物件を見つける能力・見極める能力があれば問題はないのですが、保証が良いから大手。という選択は少し違うのではないかなぁという印象を持ちました。

 

消費者のニーズについて


ここからは少し、不動産業者の立場ではなく、消費者のニーズの観点から中古(既存流通)への傾向をお話させて頂きます。

 

SUUMOの調査で、探している物件は何かと聞くと、首都圏においては注文63%、新築マンション35%、新築戸建て35%、中古マンション27%、中古戸建26%と既存流通市場も検討されているとのことでした。

一方で中古か新築か欲しいのはどちらかと聞くと7割が新築と回答するとのことでした。聞き方によって大きく左右されると調査の難しさについても語っておられました。

 

探している物件が何かという問いについて、3割近くの方が中古を挙げるということもこれまでは考えられなかったそうです。それを支えているのが「リノベーション」です。

 

2012年まで「リノベーション」という単語を知っている人は28%であったが、2016年になって52%まで増えている。と2人に1人は「リノベーション」という単語を知っているとのことでした。


最近の中古マンションのリノベーションのレベルは格段に上がってきており、最新の消費者の住宅での過ごし方のニーズは新築マンションではなく、中古マンションのリノベーション物件を見ることでわかるというくらい、リノベの進化は素晴らしいようです。

 

新築マンションにはそこまでとがった間取りは反映できないのです。前述の通り、リセールや貸し出しを考えると万人受けを狙うため。中古マンションのリノベーション物件にこそ、真のカスタマーの生活図が反映されている。とのことでした。


特に面白いのが、賃貸入居者にリフォームを実施したことがあるかとアンケートを取ると、壁に収納をつけたり、照明を変えたり、バスルームのヘッドシャワーを変えたりといった声が多数出てくるようです。

 

これは、機能性の優れないマンションを作ってしまっているということの裏返しであり、今後、品質の良い家で育った子供たちが賃貸市場にでてくるため、管理会社は要注意と池本さんもおっしゃっておられました。

 

そのため、最近では物件の広告の仕方も変わってきており、事実広告(立地・価格・広さ)を謳った広告ではなく、営業担当者の一人称で語った広告が受けている。とのことでした。

 

例:このマンションかなり〇〇と〇〇が厳しいが、〇〇という人にはぴったりの物件だと思う。等、営業担当が物件を回った感想を書いた物件広告を行うことで、例にヒットするユニークなお客様からのお問い合わせが増えているとのことでした。

 

信頼できる担当者とは


最後にお話は、近年注目されている不動産テックのお話に移りました。

 

不動産はやはり「人」を介して仲介をされることが肝になっており、話の中では、テクノロジーに代替できない「営業」の能力とは何かが語られていましたので、共有させて頂きます。

 

テクノロジーで代替できない営業とは


①信頼価値
圧倒的な安心感。
安心感=規模×営業対話力×裏付けデータ力


②新規性・意外性
思いもよらない選択肢・情報の提示、落としどころの提示等

 

ということでした。


卓越した営業マンの安心感とはデータに基づく論理(3人称)だけを話すのではなく、個人の定性情報に基づく意見(1人称)を教えてくれるかどうかということでした。

 

また、不動産営業マンに安心感を与えるためには卓越したバックオフィス機能を持つことが重要で、保育園の入園難易度、マンションの管理状況、補助金・節税といった情報を提供すル機能を持たなければならないとのことでした。


後者の部分は不動産テックでも置き換えることができるので、不動産テックによるバックオフィスの機能拡充と営業マンの信頼感を大切にすることが重要であるということです。


そして、不動産会社に求められる今後の営業マネジメントについては個人の売上評価からチーム、店舗、現場に変えていくことや、クロスセル、アップセル等様々なな業種業態をできる営業マンを育てていくことが必要であるとのことでした。

 

部下にもやれと指示する形ではなく、情報を開示し、エンパワーメントしていくマネジメントが重要ということです。

 

ここに関しては、私も言語化ができていなかったので、大変勉強になりました。

 

以上、既存住宅流通市場は本当に伸びるのか、SUUMO編集長の講演内容を公開というお話で進めさせていただきました。

 

要は、中古住宅の供給数は増加傾向にあるものの、中古住宅としても新築マンションの価格が上がっているので、賢く中古住宅を買えるような状態を作っていくことで、より既存住宅流通市場は伸びていくということですね。

 

ここまでご覧いただき、ありがとうございました。

 

何かご質問などございましたら、お気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

 

今後とも宜しくお願い致します。