元SUUMO営業マンの物件売却奮闘記

EGENT執行役員の不動産業界のリアルブログ。自身の売却活動を通じた経験から、家を売る際にためになる知識をわかりやすく記載していきます。

日米の不動産取引事例量の違いから生じる、日本の物件売買の難しさ

今回は先日お伝えした通り、不動産の取引事例の保管方法について、日本とアメリカの違いを記載させて頂きながら、その違いによって生まれる、日本においての売却活動の難しさを私の実体験を基に解説させて頂きたいと思います。

 

それでは早速、タイトルの通り、日米の不動産取引事例量の違いから生じる、日本の物件売買の難しさを始めさせていただきます。

 

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グローバル不動産透明度インデックスについて

 

皆様は、よく不動産業界は情報の非対称性が高い業界であるということを耳にするのではないでしょうか。事実、前回PropTechのイベントに出演した際の様子を記載した私のブログでも、「株では失敗をするが、不動産では失敗したことがない」と不動産会社の社長様がおっしゃることがあると記載させて頂きました。

 

何が原因で不動産業界は情報の非対称性が高くなってしまっているのでしょうか。

 

日本の不動産業界の情報の非対称性は実はグローバルで見ても問題視されています。

 

それが、JLLが発表した2018年グローバル不動産透明度インデックスに表れています。

greti.jll.com

 

不動産透明度インデックスは、JLLとラサールがグローバルネットワークを活用して世界の不動産市場に関する情報を収集し、各市場の透明度を数値化した独自の調査レポートです。2年に1度発行しており、2018年で第10版となります。2018年版では、世界100ヵ国、158都市を調査対象とし、186要素を6つのサブインデックスにおいて分析しています。

 

日本のグローバルで見た不動産透明度のランキング

 

早速総合ランキングを見ていきましょう。

(出所:JLL, LaSalle Investment Management)

(出所:JLL, LaSalle Investment Management)

このJLLの調査ではもちろん日本も対象となっております。総合ランキングで見ると日本のランクは14位という結果です。透明度の「高」グループには位置せず、アジアの中でもシンガポールや香港の下位に甘んじている状態です。

 

総合ランキングでは14位の日本ですが、項目ごとに詳細に見てみると、「サステイナビリティ(建物のスペックなど)」の項目が世界で3位と牽引していることがわかります。これはさすがのMade in Japanと言われる技術の賜物と考えても大丈夫でしょう。

 

しかし、「市場ファンダメンタルズ(成約データなど)」は35位、「取引プロセス」(共益費など)は36位とグローバルからみたの日本の不動産流通は属人的かつ不透明であり、後進国レベルという状況に甘んじてしまっています。

 

一緒に事業をやっている共同創業者が丸紅でアメリカの不動産私募ファンドの立ち上げに従事していたのですが、当時から日本はアメリカに比べ不動産取引は周回遅れの市場整備であり、韓国やシンガポールの個人投資家からも日本の不動産はデータないのでリスク分を過小評価せざる得ないと指摘されていたそうです。

 

2030年以降、東京都でさえ世帯数が減少に転じていき、更なる空き家の増加が懸念されております。最近は、政府も問題視しており、所有者不明の土地に対する活用方法も議論され始めております。

 

参考記事は下記。政府が「表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律案」を国会に提出したことが記載されております。(https://www.kenbiya.com/ar/ns/policy/vacant_house/3551.html

 

本日は特に、日本が先進国でありながら、なぜ「市場ファンダメンタルズ(成約データなど)」は35位と後進国レベルになってしまっているのかを、不動産業界の取引事例の保管体制からお話をさせて頂こうと思います。

 

日本の「レインズ」、アメリカの「MLS」の差

 

前回の私のブログでも触れさせていただきました。

www.egent.work

 

日本の不動産情報システムはレインズと呼ばれ、不動産会社が取引をした物件情報は「レインズ」で保管されています。米国では「MLS」と呼ばれる不動産情報システムが日本のレインズの役割を果たしております。

 

日本と米国では不動産情報システムの活用レベルが全く異なります。これから「レインズ」と「MLS」にどんな差があるのかを記載していきたいと思います。

 

日本の「レインズ」について

日本で、不動産業者が一般消費者様と不動産取引をする際には、レインズに掲載されている物件データを基に物件紹介や価格調整などを行います。

 

基本的には、物件を売りたい方から物件をお預かりし、レインズに載せることで、買いたい方を売主の代理人となって探すというのが不動産(仲介)業者の基本的な仕事となります。

 

実際の不動産取引の流れは、私のブログでも記載しております。

www.egent.work

 

しかし、このレインズにはすべての売主様の物件が掲載されているかというとそうではありません。そもそも、専任媒介契約で預かった物件はレインズへの掲載が義務付けられていますが、一般媒介契約の物件は掲載されておりません。これだけで、全不動産取引の約3割がレインズでは情報を集められていないことになります。

 

また、あくまでも売主から不動産会社が物件をお預かりした際に、レインズに入力する価格は「売出」価格で「成約」価格ではありません。もちろん、レインズの規約では成約した際の価格を入力するように求められていますが、不動産業者の皆さんがレインズに「成約」価格を入力することに対するメリットがないため(メリットがないから入力しないというのも問題ですが笑)、ほとんどの物件では成約価格が入力されていません。

 

レインズはこの前私のブログでも記載しましたが、FRKの皆さんが運営をしているため、FRKの方々は成約価格を入力していると思いますが、それ以外の会社様はおそらく入力しているとは言えないので、この場合でも不動産取引の5-7割が成約価格は溜まっていない状態となってしまっています。

 

つまり、レインズに掲載されている、そもそもの取引事例が全取引のうちの7割程度が失われており、成約報告がなされている物件は3割程度程度しかないという状態です。

 

そのため、「市場ファンダメンタルズ(成約データなど)」は35位と後進国レベルになってしまっているのです。

 

これまで、私も様々な専門家の方々と話してきましたが、ベンチャーキャピタルの方なども知らない事実です。不動産に従事している方であれば、1年目の方でも知っているような内容ですが・・・。周りの不動産業界に勤める方にも是非聞いてみてください。「レインズに成約報告してる?」と。その際に、してないと返された方は、「未来のためにすべきだよ」とドヤ顔で答えてみるとかっこいいと思います。

 

FRKについては先般のブログでも記載させて頂いております。

www.egent.work

 

アメリカの「MLS」について

日本の「レインズ」は、アメリカでは「MLS」というサービスが担っています。

 

アメリカでは不動産業者がMLSに実際に取引した不動産取引事例を入力しなければ、厳しい罰則も設けられていたり、「MLS」を活用することで得られる情報が不動産業者にとっても非常に有益なため、「MLS」にはほぼすべての不動産取引事例が入力されているそうです。

 

MLS は日本のFRKとは違い、地域の不動産業者が会員となり、物件の事例だけではなく、地域の不動産情報共有を中心として様々なサービスを提供する会員制組織です。

 

アメリカ全土に1,000近い MLSの組織があるようで、小規模なものでは数百人規模の単位から大規模なものでは数万人単位の MLS が会員にサービスを提供しているようです。大きな町だけでなく、小さな町でもそれだけ不動産業者にとって重要なサービスになっていることの裏付けとも言えるのではないでしょうか。

 

物件情報は、売主から依頼を受けた不動産業者がMLSに情報を随時登録しており、各不動産業者はMLSを見て、どのような物件が売りに出ているということを知ることができます。(ここは日本のレインズと同じなのですが、掲載されている情報量が違うことは前述の通りです。)


MLSは、対象地域の不動産情報がすべて集約されるデータベースですが、閲覧するには月額の会費を納めて加盟する必要があるそうです。逆に、MLSに加入しないと物件情報が入手できないので、物件の取引に参加することすらできないようになっています。

 

MLSで確認できる物件情報は、間取りなどの基本情報に加え、公図、登記履歴、税金履歴などが確認できます。日本のレインズでは、1取引ずつが羅列されて保管されているので、登記履歴などを1つの物件で紐づけて見ることができません。

 

さらに、MLSでは公的サイトから洪水マップ、や学校区などの情報も確認できます。(日本では「学校区」などのワードは差別にも繋がるので、広告禁止ワードとされている等、法整備や消費者側の姿勢なども変わる必要があります・・・)なんと、関連する国勢調査データまでもMLSで見ることが可能であるとのことでした。

 

米国の一般消費者は、不動産エージェント(仲介会社)経由ですが、物件情報と同じくらい重視する周辺エリアの情報をまとめて得ることが可能なので、不動産購入を検討している消費者にとっても、MLSの有用性は極めて高いとのことでした。

 

そんなMLSであるからこそ、成約データがしっかりと溜まっており、グローバルインデックス調査でも、アメリカは上位グループに位置しております。

 

MLSについてはこちらに記載がありましたので、気になる方はご参考下さい。

https://jareco.org/img/usr/13th_apr25_JARECO.pdf

 

 

 日本では難易度の高い物件売買

 

これまで、お読みくださった皆様には勘付いておられる方も多いかと思いますが、日本で物件を売買することは非常に難しいです。

 

皆様、物件情報などをSUUMOやHOME'S等で検索し、不動産売買に関する税金・金利の知識はまた別のサイトで検索し、校区や保育園・周辺環境などの情報はまた別のサイトで検索するというように、情報が一元化されていない状態です。

 

また、そこまでネットで情報を調べても前述の通り、そもそも物件情報においては、欠けている情報の中から皆様は必死にネットサーフィンをされてしまっている状態です。

 

私は、リクルートの提供するSUUMOで6年間不動産業者様とお話しながら、営業活動をしていた経験がありますが、不動産業者様の中にはネットにも一切載っていない、物件情報や資金計画、周辺環境情報などを網羅的に理解されている方々が多くいらっしゃします。

 

そのため、私は優秀な不動産エージェント(仲介担当者)が見つかる、EGENTというサービスを始めました。EGENTに登録頂いているエージェント様は顧客(一般消費者)の利益を最大化したいと考えているエージェント様が多くいらっしゃいます。

 

今後、サイトデザインを改良し、皆様により良くお使いいただけるように展開していく予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください。

 

今回も長文になりましたが、最後までお付き合いありがとうございました。

 

次回は、特に売却活動において、不動産取引情報が保管されていないと何が大変になるのかについて記載していきたいと思います。

 

何かご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせフォームより、ご連絡ください。